全ての英語講師が文法は大切だと言うでしょう。
そしてその通りです。
ただ、何から始めればいいのか分からないというのが本音ではないでしょうか?
どの本を使えばいいの?どれくらい勉強すればいいの?文法ばかりやっていても、実際には使えないって聞いたけど?
そのような質問に答える前に、なぜ文法が必要なのか確認したいと思います。
文法は何のために勉強するのか
知らないと通じないし、理解できない
文法は、英語として意味が成り立つ表現を作るためのルールです。
ルールなので、それに従った読み方をしないとルール違反になります。
例えば、makeという単語は誰でも知っていますが、次の英文を見てください。
I made him angry.「私は彼を怒らせた。」
これを「私は彼を作って怒っている。」という意味だと思ったら当然間違いです。話し手もそういう意味では言っていません。
これは有名な第五文型(SVOC)というものです。日本人が誤解しやすく、かつ非常に良く使われるので、英語講師なら誰もが強調する構文でもあります。
ただし、ここでのmakeが「(ある状態)にする」という意味ということを知らないと、この構文の全ての英文の意味が把握できなくなります。
その意味で、正しく英語を理解するためのルールとして文法があります。
無限に応用できる
文法は一般化されたルールなので、個々の単語を入れ替えても成り立ちます。
さきほどの英文を、I made my wife happy. 「私は妻を幸せにした。」と単語を変えても、基本構造は同じです。
そうなのです!単語が違っても、基本構造は同じなのです。それが認識できないと、応用はできなくなってしまいます。
The movie made her a star. 「その映画は彼女をスターにした。」
これも最後の部分がa starという名詞ですが、同じ構造です。
つまり、この構文(文型)をマスターすれば、このパターンの英語は理解できるようになりますし、自分で発信する際にも使いこなすことができます。
これが重要なのです!
英会話の本を見ると、「レストランで」とか「空港で」とか、シチュエーションごとのフレーズをまとめたものがありますが、文法が分かっていないと、なぜそういう意味になるのか理解できないまま使うことになります。
自分で表現をいじれないので、丸暗記するしかなくなります。万が一通じなかったら、その瞬間お手上げです。
文法を理解することで、シチュエーションごとに単語を入れ替えて意思疎通できるようになります。
こんな素晴らしい知識を学ばないなんてもったいなすぎます!
文法を学ぶのは大変です
ただ、残念ながら文法を学ぶのは大変です。
上で紹介した文は非常にシンプルなものですが、現実の英文は極めて複雑です。
それに、文法書を開いたことがある人は知っている通り、非常にたくさんの文法項目があります。
それを解説する参考書も何百ページにものぼり、圧倒され絶望します。
すべての文法を理解する必要はない
ここで誤解して欲しくないのは、文法書は辞書みたいなものです。
そこに書いてあること全てを理解する必要はないのです。
国語辞典だって知らない単語は山ほどありますが、そのせいで生活や仕事に困っている人はいないと思います(笑)
文法も重要なものだけをマスターすればいいのです。
むしろ、全部をやろうとすると、本当に大切なことの理解がおろそかになってしまうので、英語教師を目指す人や海外の大学(院)で文系科目を専攻したい人を除いては、そういう考えは忘れてください。
絶対に重要な文法事項を徹底的にマスターする
では、どの項目が重要なのでしょうか?
文型
不定詞
動名詞
分詞構文
関係詞
とりあえず、上の五項目です。これらを知らないと、そもそも英語の上達は不可能です。
比較とか仮定法も重要じゃないかという声もありますが、最悪知らなくてもなんとかなります。(もちろん、知っていた方がいいです)
※ちなみに、不定詞、動名詞、分詞構文をまとめて、「準動詞」と書いてある本もあります。
文型を知らないと、単語の並びによって動詞の意味が変わることを理解できません。(上記参照)
不定詞を知らないと、目的さえ表現できなくなります。
動名詞を知らないと、主語で「こと」を表現することができなくなります。
分詞構文を知らないと、書き言葉が読めなくなります。
関係詞を知らないと、文が複雑になる原理が分からなくなります。
多くの参考書は、あらゆる文法項目を同列に扱うので、どこから勉強すれば良いのか分かりにくくなっています。
もちろん、TOEICではどの文法項目も出題されますが、まずは英語という言語の土台となっている上記の項目から学ぶのが先決です。
まとめ
英語は日本語とは全く異なる原理でできており、特に語順が重要な言語です。
日本語は語順に関しては寛容で、適当な順番で言っても普通に通じますが、英語では許されません。(意図的な語順の変更はあります)
英語として成立する文を作るために、文法理解が絶対に必要です。
そして、文法を理解すると、状況に応じて、そのパターンに入れる単語を変えるだけで無限の意味の組み合わせが可能になります。
そうすると、自分の表現の幅が広がり、コミュニケーションが楽になります。
今回の記事では、文法事項として特に重要なものとして、文型、不定詞、動名詞、分詞構文、関係詞を挙げました。
これらはじっくりと時間をかけてマスターすべき最重要項目です。
文法書の記載をしっかりと時間をかけて理解し、例文を覚えたり、問題を解いたりしながら、完璧に理解してください。