aとtheの使い分けは誰もが迷うところです。
私もまだ100%の自信を持って使い分けることはできません。(悲しいことですが)
ただ、99%の場合で間違うことなく使うことができます。
悟りというと大げさですが、aの使い方が分かった瞬間がありました。今回はそれについてお話ししたいと思います。
aの説明(文法書的)
まずは、aの文法書的定義をすごく簡単に紹介したいと思います。
不定冠詞
引用:ウィズダム英和辞典
【単数可算名詞の前で】(はじめてふれる話題を導入して)ある、1つの(1人の)
よく I am a student. などの例文が載っています。
これに「私は一人の学生です。」という訳語をあてても、日本語的には不自然ですし、応用は全く出来ません。
そもそも、aとは何か直感的に掴めないのが問題です。
当時の私もモヤモヤしたまま、aとかtheとかyourを適当に使っていました。
でも、ある日突然理解が天から降ってきました。実際には、隣にいたアメリカ人から与えられました。
私はその日のことを今でもはっきり覚えています。一生忘れないと思いますし、授業でも話し続けるでしょう。
留学生と一緒に関西に旅行するというイベントで高野山の金剛峯寺を訪れた日でした。(アイキャッチ画像は金剛峯寺です)
そんな時に次の出来事がありました。
脱帽の英語訳とは?
理解したその瞬間の話
アメリカ人と一緒に、金剛峯寺に入ろうとした時、斜め上の方向に特大の文字で「脱帽」と書いてあるのが見えました。
真言宗の聖地なので、参拝者は帽子を脱ぐのが礼儀だからです。
その下に英語で “Take off a hat.“と書いていました。誰がどう訳しても「帽子を脱ぎなさい」です。
でも、次の瞬間、隣にいたアメリカ人が爆笑し始めたのです!
神聖な場所なのに正気を失ったのかと思いましたが、彼はその英語を指さして「英語がおかしい」と笑っていたのです。
私には全く理由が分かりませんでした。なので、彼に質問しました。
あの英語のどこがおかしいの?
だって、これだったら、誰かの帽子をひったくればOKじゃん
私は本当に衝撃を受けました。aの意味をこれほど明確に説明してくれる状況はこれまでありませんでした。
そうです、aは不特定の1つのものを指すのです。
“Take off a hat.” は、「不特定(=どれでもいい)の1つの帽子を脱げ」という意味だったのです。
ですので、自分の帽子でなくても構わないわけです。帽子を1つ脱ぐことが求められている内容なので、それが他人のものであろうが問題ないのです。
Take off the hat. だったら?
それとは逆に、theは「これです」と特定できるものに使います。
仮に今回の英語が “Take off the hat.”って書かれているとすると、アメリカ人は困惑するでしょう。
いきなり「その帽子を脱げ」と言われても、
どの帽子だよ……
って思うでしょう。
theは聞き手が分かっていることを指すために使います。
だから、the hat と言われると「あなたがどれか分かってるその帽子」という意味になります。それは困惑します。
正しくは
では、どう書けば良かったのでしょうか?
少し考えてみてください。
…………
答えは、”Take off your hat.” です。
yourがつくことで、帽子は帽子でも「あなたの」帽子と限定されています。
こうなると、他人の帽子を取ることは認められなくなります。
また、帽子をかぶっていなければ、自分には関係のない話ということになり、そのメッセージを無視すれば良いのです。
a / the / your だけでも非常に深遠な世界がありました。
もちろん、これだけで全てを説明することはできません。例外が多いのが英語という言語で、それが多くの学習者を悩ませます。
でも、aが何を表しているのか分かると、はるかに明確に表現できるようになります。
最後に、コツを書いておきます。
読み手(聞き手)がどれか分かるものにはtheをつけよう。
まとめ
冠詞は、英語において日本人が最も苦手とするものの1つです。
ほんの一単語なので軽く扱ってしまいますが、それが表すニュアンスは全然違います。
これからは、なぜaなのだろう、なぜtheなのだろうと疑問を持ちながら英文を読んでみてください。
会話の時にも意識して聞いてみましょう。自分が使い分けるのはすぐにはできなくても、段々と分かってきます。
意識するかしないかで、やがて大きな違いが生まれます。
今回の記事が、より明瞭な英語理解につながれば嬉しいです。