CEFR A2(初級) | British English | 146 words
はじめに
「The Wolf And The Lamb(オオカミと仔羊)」は、短い物語の中に、少し考えさせられるメッセージがぎゅっと詰まったイソップ寓話です。
オオカミは仔羊を食べるために、次から次へと理由を持ち出します。
ところが、仔羊がどれだけ筋の通った答えを返しても、オオカミは聞く耳を持ちません。
最初から結論は決まっていたのです。
英語は比較的シンプルですが、会話のやり取りが中心なので、場面を思い浮かべながら読みやすい作品です。
「それは本当かな?」「次はどんな言いがかりをするのだろう?」と考えながら読むと、短い英文の中でも物語の流れをしっかり追うことができます。
少し理不尽で、決して明るい結末ではありません。
でも、だからこそ長い間読み継がれてきたのでしょう。
まずは難しいことを考えすぎず、オオカミと仔羊の会話を追いながら、現代英語で書き直したイソップの世界を楽しんでみてください。
The Wolf And The Lamb

A Wolf came across a Lamb that had wandered away from the flock.
He wanted to eat him, but instead of attacking at once, he decided to invent a reason that would make his actions seem justified.
“Last year, you insulted me terribly,” said the Wolf.

“That can’t be true,” the Lamb replied sadly.
“I wasn’t even born last year.”
“Then you have been eating grass in my field.”
“No, sir,” said the Lamb.
“I am still too young to eat grass.”

“Then you have been drinking from my well.”
“No,” replied the Lamb.
“I have never drunk water. I still live on my mother’s milk.”
The Wolf had no more accusations to make, but he had never cared about the truth.

He seized the Lamb and said, “It does not matter how well you answer me. I am not going without dinner.”
And with that, he ate the Lamb.
— END —
オオカミと仔羊|本文和訳
ある日、一匹のオオカミが、群れからはぐれた仔羊に出会いました。
オオカミは仔羊を食べたくてたまりませんでしたが、いきなり襲いかかるのではなく、自分の行いがもっともらしく見えるよう、何か理由をでっちあげることにしました。
「おまえは去年、ひどく私を侮辱したな」とオオカミは言いました。
「そんなはずはありません」と仔羊は悲しそうに答えました。
「だって、去年はまだ生まれてもいなかったんです。」
「では、私の畑の草を食べただろう。」
「いいえ。私はまだ草を食べられないほど幼いんです。」
「それなら、私の井戸の水を飲んだな。」
「いいえ。水はまだ飲んだことがありません。今もお母さんのお乳だけで育っています。」
オオカミには、もう言いがかりの種がありませんでした。
しかし、オオカミにとって真実など、はじめからどうでもよかったのです。仔羊を捕まえると、こう言いました。
「おまえがどれだけうまく言い返そうと、そんなことは関係ない。私は夕食抜きで帰るつもりはない。」
そして、そのまま仔羊を食べてしまいました。
— おわり —
まとめ
仔羊は、オオカミの言いがかりに一つひとつ落ち着いて答えました。
それでも、最後まで自分を守ることはできませんでした。
この物語を読むと、「正しいことを言えば、相手も分かってくれる」とは限らないのだと、少し寂しい気持ちになります。
イソップ寓話には、こうした人間社会の不条理を驚くほど短い物語で描いた作品がたくさんあります。
この物語のオオカミは、事実を知りたいのではなく、自分の行動を正当化するための口実を探していました。
だから、仔羊がどれほど正しく答えても、結果は変わらなかったのです。
私たちの日常でも、相手が本当に話し合おうとしているのか、それとも最初から答えを決めているのかを見極めることが必要な場面があります。
そんなことを少しだけ心に残しながら読み終えたら、この短い寓話がぐっと身近に感じられるかもしれません。
短い英語だからこそ、何度か読み返すのにも向いています。
2回目はぜひ、仔羊の返答やオオカミの態度にも注目しながら読んでみてくださいね。
