SORA

元保育園の園長先生。若かりし頃に2年間のイギリス留学を経験。 英語とはつかず離れず。結局のところ、イギリスが好き。(笑)

English Essay-18|ピーターラビットが「かわいいだけ」ではない理由

CEFR B2(中上級)  |  British English  |  1,382 words はじめに ピーターラビットと聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのは、青い上着を着た小さなウサギでしょう。食器や文具、ぬいぐるみに描かれた姿は、子ども時代の安心感や英国らしい田園風景と結びついています。 ところが原作を開くと、物語の冒頭近くで父親がパイにされたと知らされます。ピーターは庭で追い詰められ、服を失い、濡れ、泣き、ようやく逃げ帰ったあとには体調を崩します。記憶の中の『かわいいお話』より、ずっと身体的 ...

English Essay-17|ピーターラビットは、絵本の外へ飛び出した

CEFR B2(中上級)  |  British English  |  1,407 words はじめに ピーターラビットと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。青い上着を着たウサギ、マグレガーさんの畑、手のひらに収まる小さな絵本。そこへ『キャラクタービジネスの先駆者』という言葉を加える人は、あまり多くないかもしれません。 しかしビアトリクス・ポターは、絵本の成功からわずか1年ほどで、自らピーターの人形を縫い、1903年12月に意匠を登録しました。ボードゲームの試作や壁紙などの企画にも関わり、商品 ...

連続ブログ小説|The Map in the Margins(余白に描かれた地図)07

CEFR B1-B2(中級 / 中上級)  |  British English  |  1,048 words Episode 07Following Margaret On Sunday afternoon, Daniel cleared his breakfast plate from the kitchen table and laid out his grey notebook with three white cards. Since returning from The Keep, the ...

Short story-04|The Story-Teller(ストーリーテラー)

CEFR B1(中級)  |  British English  |  2,119 words この小説は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 作者と時代背景について Saki (Hector Hugh Munro, 1870–1916) Sakiは、イギリスの作家ヘクター・ヒュー・マンロー(1870~1916)の筆名です。 英領ビルマに生まれ、幼くして母を亡くしたのち、兄姉とともにイングランドで、厳格な2人の ...

Short story-04|The Schartz-Metterklume Method(シャルツ=メッテルクルーメ方式)

CEFR B1(中級)  |  British English  |  2,058 words この小説は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 作者と時代背景について Saki (Hector Hugh Munro, 1870–1916) Sakiは、英国の作家Hector Hugh Munro(1870–1916)の筆名です。ビルマで生まれ、幼いころ英国へ送られた彼は、のちに警察官、新聞記者、海外特派員として ...

連続ブログ小説|The Map in the Margins(余白に描かれた地図)06

CEFR B1-B2(中級 / 中上級)  |  British English  |  1,009 words Episode 06The Keep On Tuesday evening, Daniel sat at his kitchen table and typed Albion Gate into The Keep's online catalogue. Most of the results were not what he had hoped for. There were plans fo ...

Short story-04|The Toll-House(料金所の幽霊屋敷)

CEFR A2(初級)ー B1(中級)  |  British English  |  2,946 words この小説は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 作品について W. W. Jacobs W. W. Jacobs(1863–1943)は、ロンドン生まれの英国作家です。港や船乗りの世界を舞台にしたユーモア短編で人気を得る一方、人間の欲望や恐怖を扱う怪奇作品も残しました。 最もよく知られる「The Mo ...

連続ブログ小説|The Map in the Margins(余白に描かれた地図)05

CEFR B1-B2(中級 / 中上級)  |  British English  |  words Episode 05The Other Names On Sunday evening, Daniel opened the grey notebook on his kitchen table. The first page still held the names he had written at Shoreham the day before: Worces ...

連続ブログ小説|The Map in the Margins(余白に描かれた地図)04

CEFR B1-B2(中級 / 中上級)  |  British English  |  words Episode 04A Saturday in Shoreham On Saturday morning, Daniel woke before his alarm. Small drops of rain remained on the bedroom window, but the sky was already growing lighter. He was ...

English Essay-16|逆向きのバケットリスト、あなたはすでに何を生きてきたか

CEFR B1(中級)  |  Canadian English  |  1,211 words はじめに バケットリストというと、私たちはつい「これからしたいこと」を考えます。行ってみたい国、挑戦したい仕事、いつかかなえたい夢。未来へ目を向けることは、日々に新しい光を与えてくれます。一方で、リストへ願いを足すほど、「自分はまだ何も成し遂げていない」という気持ちが強くなることもあります。 今回のエッセイが取り上げるのは、未来ではなく過去へ向かって書く「逆向きのバケットリスト」です。ただし、華やかな経歴や大 ...

English Essay-15|ピーターラビットの前に、彼女はキノコを見つめていた

CEFR B2(中上級)  |  British English  |  1,320 words はじめに ピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポター。 そう聞けば、青い上着を着たウサギや、湖水地方の美しい農場を思い浮かべる方が多いでしょう。 ところが、彼女が絵本作家として成功する前、長い時間を注いでいたのはキノコの研究でした。 顕微鏡をのぞき、胞子を発芽させ、数百点もの精密な菌類画を残す。 その姿は、私たちがよく知る「かわいらしい絵本の作者」というイメージとは少し違います。 2026年にはキューガーデ ...

English Essay-14|努力を増やすことが、いつも答えとは限らない

CEFR B2(中上級)  |  American English  |  1,147 words はじめに 午前0時近くまで仕事をしているとき、「ここまで頑張っているのだから、きっと報われる」と自分に言い聞かせた経験はないでしょうか。 努力すること、責任を果たすこと、途中で投げ出さないこと。 どれも大切な姿勢です。 それだけに、思うような結果が出ないと、私たちは方法や環境より先に、自分の努力不足を疑ってしまいます。 今回のエッセイは、アメリカの起業家をめぐるハッスル文化を入口に、日本の職場にも通じる「頑 ...

連続ブログ小説|The Map in the Margins(余白に描かれた地図)03

CEFR B1-B2(中級 / 中上級)  |  British English  |  1,108 words Episode 03Margaret Ellison On Tuesday after school, the blue book was back on Daniel's desk. Beyond the window, the last children ran across the playground towards the gate. A ch ...

連続ブログ小説|The Map in the Margins(余白に描かれた地図)02

CEFR B1-B2(中級 / 中上級)  |  British English  |  1,118words Episode 02The False Footnote The next morning, the blue book lay at the edge of Daniel's desk. Friday moved around it in the usual way: maths in the first lesson, English in the s ...

Short story-03|Her First Ball(初めての舞踏会)

CEFR B1(中級)  |  British English  |  2,501 words この小説は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 作品について Katherine Mansfield Katherine Mansfield(1888-1923)は、ニュージーランド生まれの作家で、20世紀初頭のモダニズム文学を代表する1人です。 大事件よりも、日常の一瞬に生ま ...

連続ブログ小説|The Map in the Margins(余白に描かれた地図)01

CEFR B1-B2(中級 / 中上級)  |  British English  |  1,173 words Episode 01The Pencil Note At 3.47, the last child left the classroom. “Mr Hartley, does an old church count as local history?” The boy had stopped in the doorway. Daniel was stil ...

ANDERSEN'S FAIRY TALES-01|THE EMPEROR'S NEW CLOTHES(王様の新しい服 / 裸の王様)

CEFR A2-B1(初級-中級)  | British English  | 1,466 words この童話は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 この作品について 「みんなには見えているのに、自分にだけ見えないのかもしれない」 そんな不安を感じたとき、私たちは自分の目よりも、周りの声を信じてしまうことがあります。 アンデルセンの『王様の新しい服』は、その心の動きを、 ...

English Essay-13|リストの向こうにある人生、バケットリストは本当は何のためにあるのか

CEFR B2(中上級)  |  American English  |  1,192 words はじめに 「死ぬまでにやりたいこと」を書き出すバケットリスト。 旅行、挑戦、勉強、仕事、会いたい人――考え始めると、いくらでも項目を増やせそうです。 でも今回のエッセイが問いかけるのは、「何を書けばいいか」ではありません。 もう一歩奥にある、「なぜそれをやりたいのか」という問いです。 誰かのリストを見れば、つい自分の人生と比べたくなることがあります。 もっと旅をしなければ、もっと大きなことに挑戦しなければ、 ...

English Essay-12|ピーターラビットの世界へ

CEFR B2(中上級)  |  British English  |  1,306 words はじめに ピーターラビットと聞くと、青い上着を着たいたずら好きなウサギを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 けれど、その物語を生み出したビアトリクス・ポターの人生をたどっていくと、絵本の向こう側に、もう一つの大きな物語が見えてきます。 舞台はイングランド北西部の湖水地方。 石垣に囲まれた小道、羊のいる丘、雨に濡れる農場、静かな湖。 ポターはこの土地をただ「美しい風景」として眺めたのではなく、細部まで観 ...

English Essay-11|他人の機嫌を背負わなくてよいということ

CEFR A2(初級)  |  American English  |  411 words はじめに 誰かの機嫌が悪そうなとき、つい自分に原因があるのではないかと考えてしまうことがあります。 返事が短い。 ため息が多い。 物を置く音が少し強い。 それだけで「何かしたかな」と記憶をたどり、相手が笑顔になるまで落ち着かなくなる。 けれど、その人にはこちらの知らない一日があり、その感情の理由がいつも自分にあるとは限りません。 人を気遣うことは大切です。 「大丈夫?」と声 ...

English Essay-10|短いメッセージほど、深読みされてしまう理由

CEFR A2(初級)  |  British English  |  455 words はじめに スマートフォンに届いた「了解。」という短い返信を見て、なぜか胸がざわついたことはないでしょうか。 いつもなら絵文字があるのに今日はない。 句点が少し冷たく見える。 返信までの時間まで気になって、たった数文字の向こうに「怒っているのかも」「面倒に思われたかな」と、書かれていない意味を探し始めてしまう。 そんな経験は、デジタルで会話する私たちにとって、もう珍しいことでは ...

English Essay-09|実家の冷蔵庫には、その家の歴史が詰まっている

CEFR A2(初級)  |  American English  |  478 words はじめに 久しぶりに実家へ帰ると、家具の位置や窓から入る光、廊下の匂いまで、昔と変わらないように感じることがあります。 ところが、何気なく冷蔵庫を開けてみると、そこには意外なほど小さな変化が並んでいます。 子どもの頃から見慣れた調味料が同じ場所にある一方で、知らない飲み物が増えていたり、以前はいつもあった食品がなくなっていたりする。 そんな違いに気づいたとき、家族の時間は、 ...

English Essay-08|アメリカンドリームはビジネスプランではない

CEFR B2(中上級)  |  American English  |  1,075 words はじめに 「アメリカンドリーム」という言葉には、不思議な力があります。 何もないところから始めても、努力と勇気があれば成功できる。 そんな物語は、これまで多くの人を奮い立たせてきましたし、今でも起業の世界では大きな魅力を持っています。 でも、成功した会社の“完成後”だけを見ていると、私たちは大切なものを見落としてしまうのかもしれません。 実際のビジネスは、ひらめきだけ ...

English Essay-07|いつか、この家は静かすぎる場所になる

CEFR B1(中級)  |  British English  |  1,383 words はじめに 今回のエッセイは、かつて1匹の猫を看取り、現在また猫と暮らしている60代の女性のおはなしです。 猫と暮らしていると、毎日は小さな「邪魔」でいっぱい。 朝早く起こされる。読んでいる本の上に座られる。きれいにしたばかりの服に毛をつけられる。仕事中のパソコンの前を堂々と横切られる。 その瞬間は少し困るのに、もしその全部が、ある日突然なくなってしまったら――私たちは、あ ...

Aesop’s Fables-03|The Wolf And The Lamb(オオカミと仔羊)

CEFR A2(初級)  | British English  |  146 words この童話は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 はじめに 「The Wolf And The Lamb(オオカミと仔羊)」は、短い物語の中に、少し考えさせられるメッセージがぎゅっと詰まったイソップ寓話です。 オオカミは仔羊を食べるために、次から次へと理由を持ち出します。 ところが、仔羊がどれだけ筋の通った答えを返しても、オ ...

English Essay-06|名作を「つまらない」と感じてもよいのか

CEFR A2(初級)  |  British English  |  452 words はじめに 「これは名作だから、きっと面白いはず」。 そんな期待を抱いて読み始めたのに、どうしてもページが進まない。 本を閉じたい気持ちより先に、「自分にはこの作品の良さが分からないのだろうか」と、少し気後れしてしまうことがあります。 長い年月を超えて読み継がれてきた作品には、それだけの理由があります。 けれど、その評価と、今ここで本を読んでいる一人の読者が何を感じるかは、まっ ...

Short story-02|Miss Brill(ミス・ブリル)

CEFR B1(中級)  |  British English  |  2,083 words この小説は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 この作品について Katherine Mansfield Katherine Mansfield(1888-1923)は、ニュージーランド生まれの作家で、20世紀初頭のモダニズム文学を代表する1人です。 大事件よりも、日常の一瞬に ...

Aesop’s Fables-02|The Hare and the Tortoise(ウサギとカメ)

CEFR A2(初級)  | American English  |  163 words この童話は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 この物語の「ぬりえ絵本」ダウンロードページ この物語のオリジナルイラストをそのまま「ぬりえ」にしました。 PDF 全7ページ、英語本文とぬりえ、巻末には和訳も収録しています。 この作品について 「ウサギとカメ」は、世界で最も広く知られているイソップ寓話の一つです。 足の速さ ...

Aesop’s Fables-01|The Lion and the Mouse(ライオンとネズミ)

CEFR A1-2(初級)  | American English  |  158 words この童話は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 この物語の「ぬりえ絵本」ダウンロードページ この物語のオリジナルイラストをそのまま「ぬりえ」にしました。 PDF 全7ページ、英語本文とぬりえ、巻末には和訳も収録しています。 この作品について 「ライオンとネズミ」は、古代ギリシャ ...

Short story-01|My Financial Caree(私の銀行初体験)

CEFR B1(中級)  |  Canadian English  |  1,550 words この小説は、パブリックドメインとなっている英語作品をもとに、原作の語り口を保持したまま、学習者向けの分かりやすい現代英語へ再構成したものです。 この作品について 「My Financial Career」は、カナダの作家 Stephen Leacock によるユーモア短編です。 銀行に入るだけで極度に緊張してしまう語り手が、初めて口座を開こうとして失敗を重ねます。 語り ...